天候をコントロールすることはできません。
雨に合わせて種をまき、晴れに合わせて追肥や消毒をする。
シンプルですが、この考えは「余裕のある精神」がないと実現できません。急いでいるとついつい巻いて作業をしますが、実はこれがよくない。
10苗のキュウリを急いで10苗植えてはダメです。不思議なことに天気予報が外れ、カンカン照りの乾いた日になることがあります。すると渇きに弱いキュウリ10苗の内、3苗は萎れてダメになるかもしれません。
全て一度に植えると30%がロスします。しかしここで余裕をもって7苗だけ植えるとどうでしょうか?枯れたのは2苗で済んだかもしれません。
全部で10苗のうち、8苗が育つ。ロス率が10%改善する訳です。天候は人間の思うようにはいかないです。それに腹を立ててみても文字通り「天に唾する」ですよね。
また、新庄村は縦に長い岡山県のほぼ北端にあります。寒いです。そして市販されている苗の99%は南の温かい場所で育てられています。
市販の苗を買ってきて、明日はバタバタするからといって急いで植えたとしましょう。間違いなく苗が「風邪をひく」現象が起きます。調子が崩れてしまうんです。
南から新庄に来村した方が宿泊すると、みなさん口々に「寒いので昨晩はもう一枚着て寝ました」と言います。苗だって一緒です。温かい場所から急に夜温の低い場所にお引越ししたということは、夏からいきなり秋になったみたいなものです。
しかも人間と違って「もう一枚着て寝る」なんてできないので、風邪をひいてしまうわけです。そうなるとナスやトマトのような温度が必要な野菜は一発で収量が落ちます。
精神に余裕をもって、お引越ししてきた苗を一週間ほどハウスに置いてお世話します。面倒なようでもこうするだけで見違える苗になりますよ。