太陽熱養生処理と日和見菌

日和見菌とは悪玉菌ではなく善玉菌でもない菌、日和見を決め込んでいる菌のことです。健康な人間の腸では日和見菌善玉菌:悪玉菌=7:2:1の比で多くの菌が棲みついているそうです。

土壌においても同じことが言えて(土壌は植物の腸)、大部分が日和見菌です。日和見とは要するに「強いものの味方」で、土壌の調子がいいと善玉菌の味方をしてより良い状態にしてくれます。

しかし悪玉菌優先の土ではより悪くなる方に味方をしてしまうので、病気が発生したら速やかに対処しないといけません。

さて、前回に太陽熱養生処理は前作までの根圏を改善する技術であるという考えを書きました。耕した範囲、もしくは深根性の作物で掘った深さまでが太陽熱養生処理の「効果圏」といえます。

土が固く締まってしまうと土壌は悪玉菌優先になりがちで、そこで太陽熱養生処理をしてしまうと日和見菌が悪玉菌の側についてしまい、効果がなくなってしまいます。

土が締まっている畑は、多くの場合畝が低いです。

高畝にするのは労力がいるのでつい低くしてしまう。そうすると雨水が上がってきて、水がそれまで空気のあった場所を奪ってしまいます。そして水が引くことで土が締まる。締まった場所に善玉菌は棲みつかないので、太陽熱養生処理が逆に悪玉菌とその味方をした日和見菌の巣になり、むしろ病気が増えてしまう。

これは水のやりすぎでも同じことが言えます。僕は「土壌水分60%」は多すぎと考えています。

現場においては、改善すべき土壌は改善が必要だからするので、たいていは水はけが悪い畑であることが多いです。よって畝立ての後の水やりは必要ない。むしろ40%くらいの少し乾いた状態で行うと地下水が上がってくるので、その水で十分足ります。

砂質土壌ならば太陽熱養生処理によって改善するより、まずはもみ殻などの緩衝材を挟んで土が締まりにくい環境を整えてからするべきです。土壌は物理性(土の柔らかさ)-化学性(土に含まれる物質)-生物性(土に棲みついた生き物)の「順番」で重要です。

物:化:生=7:2:1

この位の重要度だと思います。僕は日和見菌-善玉悪玉の比率と同じ程度をイメージしています。硬い土なら100点の内70点が失われた状態なので、微生物どころの話ではないです。まずは耕し、ふかふかの状態を作ってから太陽熱養生処理を行った方がいいのではないでしょうか。

これは当農園で行った太陽熱養生処理です。左と右の畝を4/26から5/30まで34日間行いました。太陽熱養生処理は確かに雑草を抑え、粗大有機物をある程度まで分解してくれます。真ん中が行っていない場所ですが、適時除草剤を散布しても雑草が抑えられていないことが分かります。

そしてこれはとても大切なことですが、「低温期の太陽熱養生処理は畝の脇などから草が生える」ということです。水が多い場所なら雑草は畝脇に限らず天面でも関係なく生えてきます。下の画像は透明マルチをはいだ直後のものです。赤いマルの場所は雑草の芽が出ています。

透明マルチをはいだ直後の雑草が軟弱なタイミングで、除草剤を全面に散布しています。除草剤は土にかかると速やかに無害な物質に分解されるので、2日も置けば種まきが可能です。

前回の記事に載せたように、この畑は太陽熱養生処理によって水はけが劇的に改善しているので、水がたまりません。なので難易度の高い9-10月のニンジンに挑戦しています。

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