微生物の発酵リレー

発酵とは本当に興味深い仕組みで、様々な微生物がリレー形式で連携しています。
例えば清酒酵母とコウジカビです。蒸米にコウジカビをふりかけ、米のデンプンを糖化させます。糖化したデンプンは酵母にとって利用しやすい形となっているのですが、この際コウジカビはYeastcidin(イーストサイジン)という抗菌物質を出して他の菌が寄り付かないようにブロックします。しかし清酒酵母はこの抗菌物質に抵抗性を持っていて、この特性によって酵母は腐敗を抑えながらアルコールを作ることができるのだそうです。

人間の腸内の例としては、酪酸菌と乳酸菌です。酪酸菌は糖から酪酸や酢酸という酸を作って腸内の雑菌を焼いてしまいますが、乳酸という同じような酸を作る乳酸菌はこの中でも生きていけます。このリレーによって腸内は弱酸性に保たれ、かつ乳酸菌は消化された食べ物に含まれるミネラルをキレートして、カラダに吸収しやすい形にしてくれます。

植物にとってはこの酪酸菌と乳酸菌の連携は特に重要です。土壌に含まれる病原菌は、傷んだ根や葉っぱから侵入してきます。今年の梅雨入り前は特に乾燥しましたよね。細胞もカラカラです。そこに一気に雨が降りましたね。つまり細胞に突然大量の水が入ってきました。そうなると根や葉っぱには亀裂が生じやすくなり、さらに激しい雨が泥をたたくことで病原菌を含んだ泥水が舞い上がります。

こうして梅雨時期に病気が発生します。これを抑えたい。土壌は植物の腸と考えると、先の酪酸菌と乳酸菌のリレーによる雑菌を抑える仕組みを使わない手はありません。

ここまでで、そんなこと本当に起きるのか?非現実的ではないか?と思った方がいると思いますが、実は簡単に実験できます。

・ビオスリーHi錠
・アサヒ EBIOS錠
・白砂糖
・水

この4つを用意し、大きなペットボトルに水4Lを入れ、砂糖を3%程度となるように溶きます。そこにビオスリー錠とエビオス錠を1錠ずつ入れて、直射日光に当たらない場所にフタを閉めて放置してみてください。

砂糖水は透明ですが、徐々に白濁してきます。その時の匂いを嗅いでみてください。とても臭いです。それが酪酸の匂いで、「汗が蒸れた匂い」「道路に落ちた銀杏臭」「一日歩いた足の裏の匂い」などとにかく不快臭として分類される物質です。

そこで捨てずに、さらに置いておくとどうなるか。なんとあれだけ不快だった匂いが消え、酸っぱい匂いがしてきます。乳酸と酢酸が作られている。しかもフタを閉めているので、空気を使わずに(嫌気的に)連携プレーが行われています。

土壌というのは約10cmより深い場所はほぼ嫌気性のため、この二つの菌のリレーを使うと、雑菌を抑えつつキレートミネラルまで効かせることができそうです。

ファースト農園ではこの他にも、色んな発酵を用いて土づくりに取り組んでいます。

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